第929夜:友の会4月例会(H26年)
今日27日は、東京こけし友の会の4月例会があったので、その報告である。4月は恒例の総会が開催され、新品こけしの頒布もお休みであるが、新入会の会員1名を含め75名の出席があった。おみやげこけしは鳴子の早坂利成さん。何と13種類のこけしを作ってくれた。例会ギャラリーは目黒幹事の担当で奥瀬鉄則の署名に関して実例を示しながら興味深い解説があった。入札品は15点、抽選品は25点。昨年、仙台のカメイ美術館で開催...
View Article第930夜:菅原さんの庸吉写し
作28日、鳴子の菅原和平さんから、こけしが届いた。昨年11月、鳴子を訪問した折、作成をお願いした庸吉こけしの写しである。「原」となる庸吉こけしは、第803夜、804夜で詳述したものである。庸吉は幸八系列の主要工人であるが残るこけしは少なく、そのこけしは別系列の岸正規により復元されている。しかし、岸さんは先年亡くなっており、昭和43年に鹿間時夫氏の依頼で庸吉型を復元した菅原和平さんに白羽の矢をたて、お...
View Article第931夜:最少こけし(滝島茂)
ゴールデンウィークも終わり、ゆっくりと緑を楽しめる季節となった。小さなこけし(豆こけし)が話題になる事はあるが、それでは一番小さなこけしはどのくらいの大きさかと問われるとはっきりしたことは分からない。そこで手持ちのこけしの中で、一番小さなものを調べてみた。滝島茂の豆えじこで中にマメ豆こけしが入ったものがあり、改めて取出して眺めてみたので、紹介しよう。その中の一番小さなこけしが今まで見た中では最小のこ...
View Article第932夜:勝之助のこけし
今週の月曜日(12日)より昨日まで、二泊三日で伊勢・熊野詣でに行ってきた。東日本はこけしの旅で毎年数回は旅をしているが、西日本となるとなかなかそういう機会もなく、久しぶりの旅行であった。伊勢神宮、熊野大社、高野山・奥の院をメインに瀞峡、那智の滝、谷瀬の吊り橋など紀伊半島の秘境にも寄ってきた。ホテル浦島の洞窟風呂も圧巻であった。さて、今夜は先日の橘コレクションで入手した勝之助のこけしである。口絵写真は...
View Article第933夜:戦前健三郎の表情(伊勢・熊野詣で2日目)
最新のこけし手帖640号(平成26年5月号)には「大沼健三郎のこけし」と題した一文が載っており、その中で戦前の1本の健三郎こけしを取り上げて、その表情について論じられている。つい数日前に戦前健三郎こけしを入手したこともあり、手持ちの戦前健三郎こけしを、その表情から今一度見直してみようと思う。口絵写真は昭和14年頃と思われる健三郎こけしの表情である。写真(2)に戦前の健三郎こけしを4本掲げる。右から7...
View Article第934夜:作者不詳(伊勢・熊野詣で3日目)
相変わらずヤフオクには橘コレクションの出品が続いているが、古い作品が多いだけあって、中には出品写真だけでは誰の作か分からないものもある。そういう所謂「作者不詳」こけしを見ると、それがどのようなもので誰の作なのか調べてみたくなるものもある。今夜のこけしもその範疇に入るもので、太い眉と元気な大きな目に惹かれて入手したものである。口絵写真はその表情である。写真(2)が本項のこけしである。大きさは6寸5分。...
View Article第935夜:友の会5月例会(H26年)
昨25日は東京こけし友の会の5月例会があったので、今夜はその報告である。夏を思わせる暑さの中、78名の出席があり、先日、NHKの「あさいち」で放映のあった「こけしの特集」に関してNHKの担当者の方からの解説もあった。今月のおみやげこけしは木地山系の本間功さん。ギャラリーは「稲毛豊の小寸こけし」。新品、中古品、入札、抽選のあと、第2部は土湯こけしまつり、鶴岡の五十嵐工人訪問のスライド報告のあと、「あさ...
View Article第936夜:横浜での直美さん実演
横浜の高島屋で開催中の「第13回・紅花の山形路・物産と観光展」に梅木直美さんが出展しているとのことで、今日外出の帰りに寄ってきたので、その報告である。丁度昼時で直美さんはお客の対応をしておられた。今回の展示会は28日(水)から6月3日(火)まで開かれており、直美さんは昨年に続いての出展である。今回の出展にあたっては、お父さんの修一さんが頑張って木地を挽いてくれたとのこと。直美さんも木地挽きを始めてい...
View Article第937夜:万之丞のこけし(戦前)
真夏を思わせる暑い日があっという間に変わり、日本列島は北海道を除き、一気に梅雨に突入した。梅雨とは言え、しとしとした降りではなく、各地で激しい雨に見舞われている。天候自体が変化の激しい時代になったのかも知れない。本ブログも更新が滞っており、訪問して下さる方々には申し訳ない限りである。鳴子好きの国恵にとって、個性豊かな戦前のこけしは魅力溢れるものであるが、保存状態なども考慮すると、なかなかこれといった...
View Article第938夜:コウのこけし(戦前)
梅雨に入ったかと思ったら、あっと云う間に一ヵ月分の雨が降り、今日は早くも梅雨の中休みのような日差しが降り注ぐ。何とも変化の激しい天候である。こけし界では、1本主要なこけしが手に入ると、それに引き寄せられるように同類のこけしが集まってくると言われるが、国恵志堂でも前回紹介の万之丞が妻君を呼び寄せたようだ。呼び寄せられたのは、酒井利治氏旧蔵で「木這子との邂逅」に掲載されているこけし。胴底には「桜井万之丞...
View Article第939夜:栄治郎型再考(1)
岡崎栄治郎のこけしと言えば、製作年代がはっきりした最古のこけしとして有名であり、その栄治郎のこけしは栄治郎型こけしとして、蔵王系の工人に引き継がれている。その第一人者である岡崎幾雄さんのこけしは戦後の第二次こけしブームの頃には入手難のこけしとして垂涎の的でもあった。その栄治郎型こけしが最近は人気がないと言う。確かにヤフオクなどを見ていても、あの入手難だったこけしがいとも簡単に手に入る。最近は第三次こ...
View Article第940夜:栄治郎型再考(2)
昨夜は、岡崎幾雄さんの栄治郎型を見て来たが、今夜は、それ以外の工人の栄治郎型を見てみよう。栄治郎型は昭和31年に幾雄さんが復元したのが最初であるが、その後、同系列の工人によって作られている。30年代前半には、斉藤源吉(第305夜、306夜参照)が、同中頃からは岡崎直志が、直志が亡くなってからは息子の昭一が作っている。昭和57年頃からは幾雄の弟子、田中恵治さんも作り始めた。また、源吉の弟子の田中敦夫や...
View Article第941夜:橘コレクションのこけし(小関幸雄)
相変わらず橘コレクションの出品が続いているが、やはり良いものにはそれなりの値が付き、年金生活の身ではそうそう入手することも厳しい状態になっている。それでも蒐集欲には勝てず、何とか細々と続けている。今夜はそんな中で入手した小関幸雄のこけしである。剥がれてしまったのか、胴底にシールは貼られていないが、大きさ、木地形態、描彩からして、「こけしと作者」の83図(198頁)に掲載されているものと思われる。例に...
View Article第942夜:安太郎の小寸こけし
先日、ヤフオクに小寸こけしが5本纏めて出品されていたが、その中の1本に鈴木安太郎のものがあり、なかなか良い出来で保存状態も良かったので入手した。安太郎のこけしは好きなこけしの1つであり、戦前から戦後まで、既に何本かのこけしを持っているが、今回の出品作は戦前の小寸こけしに良く似たものであり、戦前作の復元と思われる。今夜は、そのこけしを戦前作と比較して眺めてみよう。口絵写真は、入手した戦後作の表情である...
View Article第943夜:昭二と力のデカ目こけし
ヤフオクに出品されている橘コレクションのこけしは昭和初期の古いものも多く人気を呼んでいるが、一方で戦後直ぐの珍しいこけしも含まれている。戦後20年代(特に前半)のこけしはあまり目にすることが無く、こけしの空白地帯でもあるが収集家の関心もあまりないようで、文献などでの記事も殆ど見かけない。そんな中、今夜は鳴子のデカ目こけしに焦点を当ててみよう。口絵写真は大沼力さんのデカ目こけしの表情である。鳴子のデカ...
View Article第944夜:友の会6月例会(H26年)
昨22日(日)は東京こけし友の会の6月例会が開催されたので、その報告である。梅雨最中の小雨が降る中、70名の参加者があった。12蒔半開場、13時半から開始、おみやげこけしは鳴子の長老の一人、高橋盛の最後の直弟子である森谷和男さん。3寸5分の小寸に洒脱な描彩の本人型と勘治型を作ってくれた。全て自挽きで100本ものこけしを作ってくれたことに感謝。例会ギャラリーは橋本会長による北山賢一のこけしの解説。新品...
View Article第945夜:梅木修一さんの勝之助写し
先月、横浜高島屋で開かれた「紅花の山形路・物産と観光展」には実演者として来られた梅木直美さんのコーナーに、父修一さんの我妻勝之助型のこけしが並んでいた。最近、勝之助型を作っているという話は聞いていたので、早速修一さんに電話をすると、大宮正安さん亡き後、勝之助型は誰も継承していないし、岡崎長次郎は勝之助の弟子でもあることから勝之助型を作ることになったとのこと。そこで先に入手した橘コレクションの勝之助こ...
View Article第946夜:高岩寺の鳴子こけし実演・展示
2日(木)から6日(日)まで、巣鴨のとげぬき地蔵尊高岩寺の信徒会館で、東北復興支援・鳴子こけしの実演展示が行われている。春と秋の2回開催され、今回はその3年目で鳴子の工人が上京して、こけしと関連グッズの展示即売と工人の実演がある。参加している工人は、桜井昭寛(最初の2日間)、大沼秀顕、高橋義一、早坂利成、柿澤是伸さんの5人である。特に桜井さんは久し振りの参加で嬉しいことである。この時期、巣鴨の商店街...
View Article第947夜:佐藤慶治のこけし
超大型台風と称された台風8号が去ると共に、30度を超す真夏日が日本列島を覆って梅雨明けも間近かと思われるが、一方では局所的に雷や豪雨にみまわれている場所もあり油断が出来ない天候である。本ブログも頂きがちらほら見え始めたところで足取りが鈍ってきた。暑さにめげず頑張らなければ・・・。今夜は佐藤慶治の戦前のこけしを紹介しよう。慶治のこけしも1本は欲しいと思っていたが、なかなか気に入ったものが無く、最近、よ...
View Article第948夜:伝喜の伝伍型こけし
ようやくと言おうか、やっとと言おうか、今日(22日)関東地方も梅雨明けの宣言があった。最近の梅雨は、しとしとと長雨が続く女形ではなく、豪雨や雷などの激しい男形が多いようだ。さて、今夜は佐藤伝喜の珍しい伝伍型を紹介したいと思う。剛直な表情が気に入って求めたものである。戦後の伝喜は昭和33年に復活したのは周知の通りであり、その後、伝内型、勘内型、伝伍型も制作している。この内、伝伍型は民芸店「ねじめ」の要...
View Article