第949夜:左内のこけし(戦前)
梅雨明け後の猛暑と思いきや、雲で直射日光が遮られ、風もそこそこあって助かっている。今夜で3日続けて弥治郎のこけしを取り上げることになる。弥治郎系でも新山系列は淡い色調と簡素な模様に特徴があり、久治の初期の大頭などを除けば目立たないこけしの代表格であろう。新山兄弟の5男にあたる左内も木地形態、描彩ともあまり変化のないこけしで、文献などで取り上げられることは稀である。しかし、戦前の玉山時代と言われるこけ...
View Article第950夜:友の会7月例会(H26)
昨27日は東京こけし友の会の7月例会があったので、その報告である。35度を超す酷暑の中、こけし好きな80名に及ぶ方々が出席された。おみやげこけしは蔵王系の石山和夫さん。弟子も出来、高齢ながら力の入ったこけしを作ってくれた。例会ギャラリーは「阿部治助4代のこけし」。新品こけしは新旧7工人の力作が揃った。なお、新品こけしは例会開催日の一週間前には友の会HPに予告掲載される。中古品、入札、抽選、こけし界ニ...
View Article第951夜:英太郎復活後のこけし
本ブログも950夜を越え頂上も目前に迫ってきた。しかし中身を見ると相当な偏りがあり、戦後の名工の一人に数えられるであろう佐藤英太郎のこけしに関するものが非常に少ないのが分かるだろう。国恵は未だに英太郎さんに会ったことはなく、その人となりは人伝に聞いたもののみであるが、何となく近寄り難い雰囲気を感じてしまう。そんなことから英太郎のこけしも数本を保有するのみである。先日の友の会例会では珍しく抽選の順番が...
View Article第952夜:空白期の鳴子のこけし達
昨日、今日と35度を超える暑い日が続き、何をするにも億劫になったのは年のせいであろうか。何とか気を奮い起こしてブログの更新に取り組んでいこう。さて、先月、ヤフオクに戦後20年代前半のこけしが出ていた。この時期のこけしは数が少なく、またこけし界での評価も低かったために文献等での記載も殆どなく、空白の時代のように思われる。今回、その時期の鳴子こけしが纏めて数点出ていたので、紹介しようと思う。口絵写真は、...
View Article第953夜:まがいもの・・・
今日は人間ドックを受診したきた。在職中は会社で毎年健康診断が行われるが、退職すると後は自己管理となるので人間ドックの受診はその対応でもある。前回の受診から1年以上経ち、また気になる症状もあったことから申し込んだのだが、胃の内視鏡検査受診者が多く、一ヵ月以上も待たされてこの時期になってしまったものである。殆どの検査は1時間以内で終わり、流石に胃内視鏡は時間がかかったが、それでも午前中には全ての検査が終...
View Article第954夜:戦後直ぐの盛こけしの変遷
「高勘」のこけしは私のコレクションアイテムの中心であり、その変遷については興味を持って調べているが、秋田時代と戦後直ぐのこけしについてははっきりしないことが多い。その当時のこけしについては文献でも殆ど記載がなく、また当時のこけし自体があまり知られていないこともその要因だろう。当時のことを知っている方々も少なくなり、今となっては当時作られたこけしだけが、当時のことを物語る数少ない証拠である。最近、戦後...
View Article第955夜:善松?or幸助?
ヤフオクの橘コレクションに、後藤善松と書かれたラベルが貼られたこけしが出品されていた。しかしながら、善松と言われてイメージするこけしとはかなり異なっている。ラベルに書かれた日付は「1937.5」とあり、昭和12年頃か。「こけし辞典」によれば善松は、昭和7年から岡崎斎の弟子となり6年間木地修業したとある。もしかすると善松の極初期の作ではと思い、入手した。ところがである。このこけし、思わぬ所で別人の可能...
View Article第956夜:北岡のこけしたち
戦前の遠刈田木地業は、北岡、小室の両商店が中心となって工人を囲い込み、彼らにより作られた各種の木地製品を集めて販売していた。北岡商店は北岡仙吉により始められ、佐藤寅治・直助・治平・豊治など主として周治郎系列の工人が属していた。中でも、こけし等の小物類は若手であった佐藤正吉や英次が作り、佐藤秀一や広喜も遅れて加わったとのことである。これらのこけしは北岡仙吉名義で販売され、同じような様式のものであったた...
View Article第957夜:北岡のこけしたち(2)
今夜も橘コレクションのこけしである。橘コレクションのこけしには胴底に「KOGESHIDO」のラベルの貼ってあるものと貼っていないものがあり、ラベルのあるものでも日付の入っているものと無いものがある。また戦後20年代のものには毛筆で日付を書き込んであるものもある。橘氏は戦前と戦後、数回東北にこけし収集の旅に出かけており、それと関係しているのかも知れない。さて、今回のこけしは、今では佐藤(朝倉)英次のこ...
View Article第958夜:肘折のこけしたち(重之助)
国恵は鳴子こけしが好みなので、鳴子系に関しては細かい点まで関心を持っているが、肘折系のこけしについてはあまり触れることが無かった。それでも、こけし界の先輩たちが評価したこけしについては一通り目を通してみたいと思う。中でも、初期重之助こけしは興味深いものがある。重之助は昭和35年からのこけしが知られており、本ブログでも第343夜で触れているが何分保存状態が悪く、状態の良いものを探していた。今夜紹介する...
View Article第959夜:友の会8月臨時例会(H26)
例年なら未だ残暑が厳しい時期なのに、今年はすっかり秋めいた9月入りとなった。不順な天候のせいで野菜の高値が続き、今後が心配な昨今ではある。さて、通常なら開催の翌日にはアップする友の会例会の写真、今回はカメラから画像の取り込みが出来なくなる事態が発生し一週間遅れとなってしまった。友の会の例会は8月は休会なのであるが、今回は臨時例会ということで、中古こけしの大頒布会となり、約800本のこけし、えじこ、だ...
View Article第960夜:H26友の会旅行(1)
先週末の6日(土)~7日(日)と友の会の旅行会があり参加してきた。今回は、鳴子の全国こけし祭りが60回ということで、それへの参加をメインに、登米市の「みやぎの明治村」の見学も楽しむことが出来た。6日の10時に東北新幹線のくりこま高原駅に集合。記念写真を撮った後、チャーターのマイクロバスに乗り込んだ。参加者は16名(女性6名)で、車内で胸に着ける豆こけし付きのリボンが抽選で配られた。鳴子の4人の工人の...
View Article第961夜:H26友の会旅行(2日目)
友の会旅行の2日目(9/7)、午前中はこけし祭りの自由見学ということで、朝食後、こけし祭りの会場に向かう。途中、温泉神社に差し掛かると、御神輿の一団がちょうど温泉神社を出るところであった。神社の境内には相撲の土俵が作られており、高校の相撲の大会が開かれていた。大沼秀雄さんも高校の頃には出ていたとの事で、長い歴史のある大会だそうだ。神輿の後についてこけし祭りの会場に向かう。2日目ということで、混雑は無...
View Article第962夜:H26友の会旅行(番外編)90万アクセス突破
今回の友の会旅行会は9/6~7の二日間であったが、実は1日前の5日に鳴子に行って、高橋正吾さんに会ってきた。また、7日の旅行会解散後には、大沼力さんを訪問した。共に80歳を越える鳴子の長老工人。特に力さんは、伊藤松一さんが仙台に移ってからは最長老の工人と思われる。力さんは数年前から懇親会などには一切顔を見せておらず、どのような状態なのか、ぜひ知りたかったのである。今回、お元気なお顔を拝見でき、またこ...
View Article第963夜:柿澤父子の盛写し競作
昨年、カメイ美術館で開催された友の会創立60周年記念展示会には5本の鳴子系こけしを出品したが、その中の盛こけし(昭和8年頃、1尺)に柿澤是隆さんが興味を持ち、その復元作を作りたいとのことだったので、11月に鳴子を訪問した際、そのこけしを預けてきた。その後、是隆さんが体調を崩し延び延びになっていたが、今回の友の会旅行で訪問すると、そのこけしが作ってあった。是隆さんの体調も回復したそうで安心した。今夜は...
View Article第964夜:ヤフオクに保存極美の古作出品さる!
去る16日(火)から18日(木)まで、黒部アルペンルートと上高地の旅に出かけてきたが、その間にヤフオクに正末昭初を中心にした保存極美の古作こけしが60本も出品され、こけし界に一種の衝撃を与えた。こけし手帖627号には「タイムカプセルから飛び出したこけしたち」と題して、数年前、東京のこけし店で販売された正末昭初の保存完璧こけしの記事が載っているが、それに匹敵するレベルのこけしであった。その文中で筆者は...
View Article第965夜:善松?or幸助?(その後)
ヤフオクに出品された極美古作の話題が沸騰しているようで、今後が注目される。さて、第955夜で善松又は幸助かと思われるこけしの紹介をしたが、その後分かったことについてお話しよう。それは、その後同じ橘コレクションの善松こけしが出てきたことによる。このこけしは橘氏が前回の善松こけしと一緒に入手したものと思われるが、その様式は「高勘」系のものとは異なるものである。このことから、前回のこけしも子野日幸助ではな...
View Article第966夜:日本こけし館の入札品
最近のオークションと言えば、ヤフオクに出た60本の極美古作の逸品に尽きるが、日本こけし館で開催された中古品オークションの落札こけしが送られてきたので紹介しよう。日本こけし館でのオークションは全国こけし祭りのイベントの1つとして開催されていたものである。友の会旅行の2日目午後は日本こけし館での柴田長吉郎コレクションの鑑賞となっており、その折にこのオークションを知った。こけし館の1階の1室に並べられた中...
View Article第967夜:友の会9月例会(H26)
今日(28日)は東京こけし友の会の9月例会があったので、その報告である。好天の中、73名の出席があった。おみやげこけしは遠刈田系の我妻敏さんのこげす型で一筆目、一側目、二側目の3種があった。ギャラリーは秋保の菅原敏さんのこけし、初期作からの変遷と各種の型の紹介があった。新品頒布は7工人で西山敏彦さんは秋にちなんだ子持ちエジコ。こけし界ニュースでは話題沸騰中のヤフー・オークションの極美古作のスライド紹...
View Article第968夜:みちのくこけしまつり(H26)
昨4日(土)より、山形市のナナビーンズで第34回みちのくこけしまつりが開催されており、3日より出かけて来たので、その報告である。コンクールの審査は3日の午後1時30分から開催された。昨年より審査が公開になったとのことで、会場での審査状況を10名前後の方々がロープが張られた傍らで見守っておられた。3日夕刻には、「伝統こけしの部」として、内閣総理大臣賞以下20点、「木地玩具の部」として、経済産業大臣賞以...
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