去る16日(火)から18日(木)まで、黒部アルペンルートと上高地の旅に出かけてきたが、その間にヤフオクに正末昭初を中心にした保存極美の古作こけしが60本も出品され、こけし界に一種の衝撃を与えた。こけし手帖627号には「タイムカプセルから飛び出したこけしたち」と題して、数年前、東京のこけし店で販売された正末昭初の保存完璧こけしの記事が載っているが、それに匹敵するレベルのこけしであった。その文中で筆者は『まだまだ、素晴らしいこけしがタイムカプセルに入れられたまま、どこかに眠っているような予感がしてなりません。』と期待の言葉を述べているが、それが再現されたようなものである。ご存知ない方も居られると思うので、以下にその出品写真と落札価を紹介したいと思う。口絵写真は、最高落札価となった盛秀太郎の表情である。
今回出品されたこけしは60本。極一部を除いて、大正末から昭和1桁台のこけしと思われる。正に天江氏の「こけし這子の世界」に出て来るような古作こけしで、保存はほぼ完璧、今作られたばかりのような状態である。
流石に二度と出ないであろうと思われるこけし群で、相当な落札価が予想されたが、まさにその通りであった。最高額の盛秀こけしは200万円を超え、他の盛秀3本も100万円を超えた。その他では50万以上が6本、30万以上が8本、20万以上が9本、10万以上が15本、最低価は戦後の河村清太郎の15,500円であった。落札額の合計は18,863,600円、1本平均が31万円ほど。落札者は全部で15人で、本数の半分、落札額の半分を一人の方が占められた。普通の会社員、年金生活者にはなかなか手が届かない入札であった。
以下、出品番号順に紹介しよう。
(2)25cm(広喜?):106,000円
(3)18.5cm(広喜?):201,000円
(5)24.5cm(文六?):303,000円
(6)16.5cm(宮本永吉):756,000円
(8)11cm(宮本永吉):356,000円
(9)22.5cm(平賀謙蔵):319,000円
(11)21.5cm(白畑重治):122,000円
(12)23cm(白畑重治):105,000円
(14)16cm(竹野銀次郎):313,000円
(15)16cm(竹野銀次郎):52,000円
(17)8.5cm(作者不明):17,100円
(18)8.5cm(白畑重治?)52,000円
(20)6cm(作者不明):102,000円
(21)5.5cm(阿部常吉):52,000円
(23)31.5cm(小椋久四郎):551,000円
(24)(小椋久四郎)668,000円
(26)22cm(小椋泰一郎):232,000円
(27)12.5cm(小椋泰一郎):357,000円
(29)15cm(盛秀太郎):2,202,000円
(30)19.5cm(盛秀太郎):1,802,000円
(32)13.5cm(本田鶴松):83,000円
(33)16.5cm(本田鶴松):122,000円
(35)24.5cm(河村清太郎):15,500円
(36)23.5cm(小林吉三郎?):102,100円
(38)13.5cm(伊豆定雄):86,600円
(39)17.5cm(伊豆定雄):79,000円
(41)29.5cm(伊豆定雄):57,000円
(42)37cm(中島正):89,000円
(44)12cm(高野辰次郎):153,000円
(45)12.5cm(佐藤慶治):78,700円
(47)13cm(鎌田文市?):93,000円
(48)15cm(小倉?):70,000円
(50)20.5cm(新山左内):118,000円
(51)20.5cm(佐藤慶治):262,000円
(53)19cm(渡辺求):102,000円
(54)14cm(阿部常吉):122,000円
(56)20.5cm(阿部常吉):73,000円
(57)22cm(阿部常吉):266,000円
(59)20.5cm(荒井金七):251,000円
(60)18.5cm(佐藤勘内):654,000円